ダイバーシティコラム

講師VOICE

NEW

企業内のSOGI/LGBTQの理解促進:人事担当者として知っておくべきこと①

はじめに

 

2019年、職場でのハラスメント防止に向けた改正労働施策総合推進法(いわゆる改正パワハラ防止法)が成立し、企業は性的指向・性自認に関するものを含むハラスメントへの取り組みが義務付けられました。また、翌年には厚労省委託事業として、「令和元年度 厚生労働省委託事業 職場におけるダイバーシティ推進事業報告書」が公開され、当事者の困り感や実態が浮き彫りになっています。

国の施策ばかりでなく、経団連も加盟企業に対してLGBTに焦点をあてた取り組みを推進する提言を示した他、当事者の声や世論などを受けて、企業における関連施策の事例は広がりをみせています。

そうした中、本コラムでは企業が取り組みを進める上で知っておくべき基礎知識をシリーズでご紹介いたします。施策検討や実施において、ぜひ参考にしてください。

 

  1. 性の多様性 SOGI/LGBTQとは

 

まずは基本的な言葉について確認しておきましょう。

 

■ SOGI(ソジ)について

SOGI(ソジ)とは、性的指向(Sexual Orientation)、性自認(Gender Identity)を組み合わせた用語です。ジェンダー表現(Gender Expression)を加えて、SOGIE(ソジー)と表現されたり、身体の性的特徴(Sex Characteristics)を加えた、SOGIESC(ソジエスク)という用語が使われることもあります。昨今はSOGIハラスメント(性的指向や性自認を理由としたからかい、いじめ、暴力)の側面で、SOGIという言葉が使われるようになっています。

 

性的指向が異性に向き(異性愛者)、性自認が身体・戸籍上の性別と一致する人(シスジェンダー)が社会の大多数です。一方で、それぞれの要素で多数派とは異なるあり方で生きるマイノリティ(性的マイノリティ)とされる人たちがいます。

性的指向と性自認は、人間の性のあり方を形づくる構成要素であり、誰もが持っています。そのあり方については多数派と少数派に分かれますが、誰もが「多様な性のあり方」を生きる一人ひとり、と言い換えてもいいでしょう。

 

■ LGBTQ(エルジービーティーキュー)

好きになる対象が同性に向いているレズビアン(Lesbian=L)、ゲイ(Gay=G)、好きになる対象が女性・男性の両性であるバイセクシュアル(Bisexual=B)、性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なるトランスジェンダー(Transgender=T)、そして、性自認や性的指向が明確ではなく揺れ動いている人、決められない、または決めないというクエスチョニング(Questioning=Q)、それぞれの名称の頭文字をまとめた言葉です。なおQには、クィア(Queer)という意味も含まれます。“奇妙な”“風変わりな”という意味ですが、当事者運動の中でその意味が転じられ、性的マイノリティの総称として使われるようになったようです。

LGBTQは、性的マイノリティ(性的少数者)の総称の一つです。もちろんLGBTという表記でも間違いではありませんが、多様な性のあり方をより包摂しようという流れのなかで、LGBTQという表記を使う事例が増えているようです。

 

■ 人口のおよそ5〜8%と推計

日本での調査では、人口のおよそ5〜8%の人が性的マイノリティに該当するとされています。この数字の割合は、左利きの人や血液型がAB型の人、または障害者手帳を持っている人の割合とも同じくらいの数字です。

あれ?思っているより多いのかもしれないな…とお感じになったかもしれません。自分の会社や組織の人数にあてはめると、5〜8%に該当する人数がイメージしやすいかもしれません。

 

■ その他、知っておきたい用語

・ヘテロセクシュアル:異性愛者

・シスジェンダー:性自認が出生時に割り当てられた性別と同じ人

・トランスジェンダーの対義語

・アセクシュアル:他人に性的関心を抱かない人、またはとても弱い人

・アロマンティック:他人に恋愛感情を抱かない人、またはとても弱い人

・Xジェンダー:男女のいずれか一方に限定しない性別の立場を取る人、ノンバイナリーと表現されることもある

・パンセクシュアル:あらゆるセクシュアリティの人に対して性的関心を抱く人

 

<執筆>

レインボーノッツ合同会社・NPO法人Rainbow Soup代表:五十嵐 ゆり

(レインボーノッツ様のコラムをDiversityGateのためにリライトいただきました)

一覧に戻る